精神科医の徳田です。
こころや身体が病んでいるときは、生活指導やカウンセリング、薬物療法をおこないます。
眠れない・不安・落ち込みなどで生活に支障がある場合は、安定剤や睡眠剤を用いることもあります。
しかし時々、安定剤や睡眠剤まで用いる必要がない方、安定剤・睡眠剤が合わない方や希望しない方、症状ではなく体調を整えたいだけの方もいらっしゃいます。
そういう方々には、漢方薬がうってつけです。
漢方薬は、生薬というより身体に馴染みのある薬草で構成されています。
より本来の自然に近い効能が期待できます。
そこで今日は、心や体の不調のとき、これだけは知っておきたい漢方薬を3つ紹介します。

まずベスト1。
半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)です。ツムラでは通し番号16番です。
人はストレスを感じると、喉が詰まった感じやものがひっかかる感覚になります。
これは典型的なストレス反応ですが、半夏厚朴湯はこれらの症状を速やかに改善します。
私も人前で発表するときに緊張しやすいので、よく喉のつまり感やモヤモヤ感を自覚します。
その時に半夏厚朴湯を1包飲むと、すごく良く効きます。

ベスト2
抑肝散(よくかんさん)です。
沖縄の方言で、心を肝(チム)と言います。
抑肝散は、肝(チム)を抑える散剤という意味です。
名前の通り、イライラや神経がたかぶっている時に効果があります。
よく認知症の方のイライラ止めとして処方されることが多いですが、本来は抑圧されたイライラ、我慢しているときのイライラに効果があります。
現代社会はいろんな事で我慢しなければならないので、抑肝散はよく使われます。

ベスト3
苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)です。
これは動悸・めまいなどに効果があります。
特にパニック発作など、ストレスから来る自律神経症状の動悸に良く効きます。
不安の多い世の中、パニック発作のある方も多いです。
これまでなら安定剤を内服することが多いのですが、安定剤を飲むと眠気が強い方や、妊娠や体調などで安定剤使用を控えたい方に、苓桂朮甘湯をお勧めしています。

以上、精神科心療内科でお勧めの漢方薬を紹介しました。
この3つ以外にも、柴胡加竜骨牡蛎湯や桂枝茯苓丸、加味逍遙散や加味帰脾湯などのお勧めの漢方薬もあります。
漢方薬が全てこころの不調に効く訳ではありませんが、不調の内容がハッキリしていたら漢方薬はすごくお役に立てますよ。
詳しくは主治医とご相談ください。

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