精神科医にとって最も重要なスキル。
それはなんといっても"聴く力"
理由は3つあります。

1つ目は、患者さんとの信頼関係を得るためです。
患者さんは、いろんな思いを持って来院します。
自分の話を聴いてくれる人を求めています。
自分の事にもっと関心を持ってもらいたいものです。
なので、話を聞いてくれる人の所へやってきます。
そもそも医療は患者さんと信頼関係が大切です。
そのためには、患者さんの思いや考えを聞く事は薬やアドバイスを与えるよりも大切になります。

2つ目は、相手の考えを言葉にして引き出すためです。
ストレスにさらされている時は、こころの中はモヤモヤしています。
心の中のもやもやは、放っておいてはいけません。
心の中のもやもやは、やがて体に伝わります。
例えば、動悸やめまい、なんとなくお腹がすぐれない等の体の症状として現れます。
心の中のモヤモヤの段階で話を聴くことで、そのモヤモヤを伝えようと患者さんは必死になって言葉に置き換えます。
患者さんが話をする、医師が話を聴くこと自体が、もう既にセラピーなのです。

3つ目は、聞くことによって相手を観察できるからです。
自分のことを語っている方は、語っている時の自分を意識する事は少ないです。
しかし聞いている側からすると、語っているときに「あー、この方は、嫌な気持ちをしたときに目を下に向けるね」とか「このお話は、目尻が下がっているので、すごく楽しい内容なんだな」と言うふうに相手をクセを観察することができます。
このことが、患者さんをより深く知る手段となります。
患者さんの事を深く知る事ができれば、患者さんにもっと大切なアドバイスやメッセージを伝える事ができます。

これ以外にも聴く力はたくさんのメリットがあります。

今日もこれから診察です。
診療をやらせていただく奇跡に感謝しながら、患者さんの話をいっぱい聴いて、聴く力をさらに磨き、患者さんに良い物をお返ししたいなと考えています。

以上、診察室からお届けしました!

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